十一代天師の諱は通玄、字は仲達、張子祥の長男である。天性もの静かで、数多くの霊威を示した。祖天師の法を守り伝え、真を修めて道を味わい、他人との議論を好まなかった。いつも一人で部屋に座り、戸を閉ざし、四十年もの間山から下りなかった。必要な時でなければ外出せず、妻子とですら必要な時以外は会わず、側近であっても会うことはまれであった。
疫病が蔓延した時には薬を塗った木の枝を水中に差し、その水を汲んで飲んだ病人はみな治った。謝礼として絹の反物を持って来る者がいたが、それを断り、「祖天師は、この地で人々を救った。どうして謝礼を受けることができようか。」と言った。符水を乞う者が押し寄せ、経籙を受ける者はますます多くなった。しばらくして道を成就した。
九十七歳で羽化した。埋葬して数ヶ月経っても亡骸は腐敗しなかった。