六代天師の諱は椒、字は徳馨、張昭成の長男である。儒書に幅広く精通し、降魔治鬼の法術に長けており、諸階の秘籙を授けることで人々に教えを伝えた。
東晋の安帝から幾度も召されたが辞退した。
鄱湖に遊んだ時のこと、ある月夜に老人が船に乗って天師の前に進み出て、「張天師殿は仙道によって教えを広めていると聞きました。私も教えを受けたいのですが、今までその機会に巡り合えませんでした。今日、思いもかけず、あなた様が遠方よりこの湖畔に来られたので、お会いする時を持つことができました。どうか教えの奥義を示し、この愚かな私をお導きください。」と言った。天師は老人に、「昔から道を成就した者は皆、戒に従うことから始めている。しかし、心を戒に従わせるよう努めるのは、戒を心に沿わせるのには及ばない。あらゆる物事はみな空であり、一真のみ常にある。そなたはこれを知っているか?」と言った。老人は立ち上がり、お礼を言って去っていった。従者は不思議な光が辺りを照らしていたのを見たが、老人の姿は分からなかった。天師は笑って、「彼は龍神だ。水族を掌る者だ。大いなる道の教えを聞いたことがなかったから、会いに来て教えを乞うたのだ。」と言った。
山に住んでいる時、天師は様々な霊威を示した。百歳余りで尸解した。